1 高血圧
脂肪細胞からは悪玉と善玉の物質が分泌されている
お腹がでっぱる内臓脂肪型肥満を含めたメタボリックシンドロームは、1 高血圧、2 高脂血症、3 糖尿病、4 その他(動脈硬化性疾患、脂肪肝)などの病気を誘発します。この項目では、なぜこうした病気になってしまうのかを順番に解説していきます。
まず 1 高血圧ですが、これまでの医学では太ると体の体積が増えるため、心臓がたくさんの血液を太った体に送りださなければならないために血圧が上昇する。または、肥満によって動脈硬化が促進し、その結果として血圧が上昇すると考えられていました。
しかし近年になって、内臓脂肪が分泌する「生理活性物質(アディポサイトカイン)」が血圧を上昇させる原因であると証明されました。生理活性物質には善玉と悪玉があり、善玉は「アディポネクチン」、悪玉は「アンジオテンシノーゲン」と呼ばれていますが、ここでは混乱を避けるために善玉と悪玉とだけ表記します。
健康な人の脂肪細胞からは血圧を低下させたり、動脈硬化を防いだりする善玉が分泌されています。しかし、過食や運動不足によって内臓脂肪が過剰に増えてお腹がでっぱってくると、善玉の分泌が減少します。つまり、お腹ぽっこり=血圧の上昇につながるのです。
また、善玉が減少すると体内の塩分を排泄する腎臓の機能も低下します。すると、血液濃度を正常に保つため、水分を補充して血液量を増そうと体が反応して血圧の上昇を招くのです。さらに、内臓脂肪によってお腹がぽっこりしてくると悪玉まで登場します。悪玉には血管を収縮させる働きがあるため、悪玉が登場するとすぐに血圧が上昇します。
高血圧が続くと命を落とす可能性が高まる
実は血圧がかなり高い人でも、自分の高血圧を意識していないケースがよくあります。それは血圧が高くても、痛いとか辛いといった自覚症状がほとんどないためでしょう。また、正確な統計ではありませんが、日本には約3000万人もの高血圧症患者がいるため「年をとれば誰でも血圧は高くなる」と、思い違いをしている人が多いのも事実。こうした背景から高血圧を「サイレントキラー(沈黙の殺し屋)」と呼ぶことがあります。
自覚症状がなくても血圧が高い状態が長く続くと、命に関わる重大な合併症をひき起こします。代表的なものは動脈硬化、狭心症、心筋梗塞、脳梗塞、脳出血、腎不全、認知症(痴呆症)など。高血圧と共に動脈硬化が進むと、はじめて手のしびれ、めまい、動悸、首筋や肩のコリ、頭重感などが現れます。
高血圧になるのは遺伝的な要因もありますし、塩分過剰な食事や飲酒によってもひき起こされますが、なんといって内臓脂肪の蓄積が一番問題であると理解してください。
